アート制作中に「あれ?」と思ったら:障害のある方がつまづきを乗り越えるヒント
アート制作に取り組んでいると、時に「あれ?」「思ったようにいかないな」と感じる瞬間があるかもしれません。特にアートを始めたばかりの頃は、このような「つまづき」に直面しやすいものです。
しかし、こうした経験は決して特別なことではありません。むしろ、多くの人が通る道のりであり、乗り越えることで新しい発見や学びにつながることがあります。この記事では、アート制作中によくある「困った」と感じる状況と、それらを乗り越えるための具体的なヒントや考え方をご紹介します。
アート制作中によくある「あれ?」と感じる瞬間
どのような状況で「うまくいかないな」と感じやすいのでしょうか。いくつか例を挙げてみます。
- 色が思ったように出ない、濁ってしまう: 絵の具を混ぜると思ったような色にならなかったり、色がにごってしまい、きれいな表現ができないと感じることがあります。
- 形がうまく描けない、立体感が出ない: 見たものをそのまま描こうとしても、バランスが崩れたり、平面的に見えてしまったりすることがあります。
- 何から手をつけていいか分からなくなる、アイデアが浮かばない: 制作を始めようと思ってもテーマが見つからなかったり、途中から次に何をすれば良いのか分からなくなったりすることがあります。
- 集中力が続かない、飽きてしまう: 始めた頃は夢中になっていたけれど、途中で集中力が途切れてしまったり、飽きてしまったりして、完成までたどり着けないことがあります。
こうした状況に直面すると、「自分には向いていないのかもしれない」と不安を感じることもあるかもしれません。しかし、これからご紹介するヒントを試してみることで、状況が変わる可能性があります。
「つまづき」を乗り越えるための具体的なヒント
「あれ?」と感じた時に試せる具体的な方法をいくつかご紹介します。
1. 問題を具体的に捉えてみる
漠然と「うまくいかない」と感じるのではなく、「何が」うまくいかないのかを具体的に考えてみましょう。
- 色の場合: 「緑色を出したいのにいつも暗い色になってしまう」「色がにごるのは水の量が多いのかな?」など、具体的な疑問点を探ります。
- 形の場合: 「この部分のバランスがおかしい」「影のつけ方が分からない」など、気になる箇所や理由を考えてみます。
問題を具体的にすることで、解決策が見えやすくなります。
2. 一度立ち止まり、違う視点から見てみる
制作に集中していると、視野が狭くなってしまうことがあります。少し手を止めて、作品から離れてみましょう。
- 少し距離を置いて見る: 作品全体を客観的に見ることができます。
- 違う角度から見る: 普段見ない方向から見ると、気づかなかった点が見えることがあります。
- 休憩を挟む: 頭の中をリフレッシュすることで、新しいアイデアが浮かんだり、解決策を思いついたりすることがあります。
3. 先生や支援員、他の人に相談してみる
一人で悩まず、助けを求めることは非常に大切です。
- 具体的な状況を伝える: 「この色がどうしてもきれいに出せない」「この形がうまくとれない」など、具体的に困っている点を伝えてみましょう。
- 質問する: 先生や支援員に「どうすれば良いですか?」と質問することで、専門的なアドバイスや具体的な方法を教えてもらうことができます。
- 他の参加者と話してみる: 他の人がどのように制作しているのか、どんな工夫をしているのかを聞いてみるのも良いヒントになります。アート教室によっては、お互いの作品について話す時間が設けられている場合もあります。
相談することで、自分一人では思いつかなかった解決策が見つかったり、気持ちが楽になったりすることがあります。
4. 完璧を目指さず、プロセスを楽しむ
最初から完璧な作品を作ろうと意気込みすぎると、少しの「つまづき」でも大きく落ち込んでしまうことがあります。
- 「失敗」も学びの一部と捉える: 色が濁ってしまっても、「この色とこの色を混ぜるとこうなるんだな」という発見になります。形が崩れても、どうすればより良くなるかを考えるきっかけになります。
- 完成よりも過程を楽しむ: 作品を完成させることだけが目的ではありません。手を動かすこと、色を混ぜること、素材の感触を楽しむことなど、制作のプロセス自体にも楽しさがあります。
- 「少しでも進んだらOK」と考える: たとえほんの一部でも、昨日より今日の方が少しでも進んでいれば素晴らしいことです。小さな達成感を積み重ねていきましょう。
5. 使える道具や方法を変えてみる
いつもと違う道具を使ってみたり、別の方法を試してみたりすることも有効です。
- 違う絵の具を試す: 透明水彩、アクリル絵の具、油絵の具など、画材によって色の混ざり方や表現が変わります。
- 違う画材や素材を使う: 絵を描くのが難しければ、粘土や布、紙を使った工作をしてみるなど、別の表現方法に挑戦してみるのも良いでしょう。
- 描く順番を変える: いつもは輪郭から描いているけれど、今度は色を塗ることから始めてみるなど、プロセスを変えてみることで新しい発見があるかもしれません。
焦らず、自分のペースで
アート制作における「あれ?」は、あなたが真剣に作品と向き合っている証拠です。すぐに解決できなくても、焦る必要はありません。
大切なのは、「できない」と諦めてしまうのではなく、「どうすればできるだろう?」と考えてみること、そして、必要であれば周りのサポートを借りることです。
アートは、あなたの内面を表現する素晴らしい手段です。うまくいかない時があっても、それは成長のための貴重な経験です。ご自身のペースで、様々なヒントを試しながら、アート活動を楽しんでいってください。