アート作品を飾る楽しみ:障害のある方が作った作品を日常に取り入れるヒント
アート活動は、自分自身を表現し、新しい発見や喜びをもたらしてくれる素晴らしい時間です。そして、一生懸命に取り組んで完成させた作品には、特別な思いが込められていることでしょう。
作品が完成したら、次の楽しみはそれをどのように活かすか、という点にあります。特に、ご自宅で作品を飾ったり、眺めたりすることは、創作の喜びをさらに深め、日々の暮らしに彩りを与えてくれます。このコラムでは、障害のある方がご自身のペースで、作ったアート作品を日常に取り入れ、楽しむためのヒントをご紹介いたします。
完成したアート作品を飾ることの意義
作品を飾ることは、単に物理的なスペースに置くこと以上の意味を持ちます。
- 達成感の再確認: 作品をいつでも目にすることで、「自分はこれを作り上げたんだ」という達成感を繰り返し味わうことができます。
- 自己肯定感の向上: 自分の手で生み出したものが形になり、空間を飾る存在となることは、自己肯定感を育むことにつながります。
- 日々の潤い: 見慣れた空間に自分の作品があることで、心が安らいだり、新たな視点を得たりと、日常に心地よい刺激を与えてくれます。
- コミュニケーションのきっかけ: ご家族やご友人、あるいは支援者の方が作品を見て声をかけてくれることで、自然な形でコミュニケーションが生まれます。
作品を飾る場所を考えるヒント
作品をどこに飾るかは、その作品の印象や、見る人の気持ちに大きく影響します。ご自身の生活動線や、作品のサイズ、素材などを考慮して、最適な場所を見つけてみましょう。
- リビング: 一番多くの時間を過ごす場所、あるいは来客がある場所です。少し大きめの作品や、お気に入りの力作を飾ることで、空間のアクセントになります。
- 玄関: 家の顔とも言える場所です。季節ごとに作品を入れ替えるなど、訪れる方を迎える楽しい工夫ができます。
- 寝室: プライベートな空間です。心が安らぐような色合いの作品や、自分だけのお気に入りを飾ることで、リラックスできる空間になります。
- 廊下や階段: 少し狭いスペースでも、小さな作品を複数並べたり、壁に沿って飾ったりすることで、ギャラリーのような雰囲気を楽しめます。
- 机の上や棚: 絵だけでなく、陶芸作品や立体作品などを飾るのに適しています。普段目にする場所に置くことで、作業の合間に癒しを得られます。
作品を安全に飾るための工夫
作品を飾る際は、安全面にも配慮することが大切です。
- 安定性の確認: 作品が倒れないように、額装する場合は壁にしっかり固定できるフックを使用したり、棚に置く場合は滑り止めシートを使ったりすることを検討しましょう。
- 落下のリスク: 特に地震が多い日本では、高い場所に重い作品を飾る際は、落下防止の工夫が不可欠です。軽い素材で作られた作品を選ぶか、安全な場所に飾るようにしましょう。
- 素材への配慮: 直射日光が当たる場所は作品の色褪せの原因になります。また、湿気の多い場所ではカビが発生することもあります。作品の素材に合わせて、適切な環境を選んでください。
- 通路の確保: 廊下や人の通りが多い場所に飾る場合は、作品が通行の妨げにならないか、ぶつかって壊れたり怪我をしたりするリスクがないかを確認しましょう。
作品の飾り方アイデア
額装するだけでなく、様々な飾り方があります。
- 額に入れる: 作品が引き締まり、本格的な印象になります。サイズに合わせて様々な種類の額を選ぶことができます。
- イーゼルを使う: 絵やキャンバスを気軽に飾ることができます。場所を取らず、移動も容易です。
- クリップやピンチで吊るす: イラストや切り絵など、軽い紙の作品に適しています。ワイヤーや紐を使って、簡単におしゃれなディスプレイができます。
- 複数並べる: 小さな作品をいくつか組み合わせて飾ることで、リズム感が生まれます。テーマや色合いを揃えると統一感が出ます。
- 箱やケースに入れる: 立体作品や壊れやすい作品は、ホコリから守りつつ安全に飾ることができます。
作品を鑑賞する時間を持つ
飾るだけでなく、意識的に作品を「鑑賞」する時間を持つことも、アート活動の楽しみを深めます。
- ゆっくり眺める: 毎日忙しい中でも、少し立ち止まって作品をじっくり眺める時間を作りましょう。制作中のことや、その時の気持ちを思い出せるかもしれません。
- 光の当たり方を変えてみる: 自然光や照明の当たり方によって、作品の見え方は変わります。時間帯を変えて見てみると、新たな発見があるかもしれません。
- 感想を言葉にする: 作品を見て感じたこと、気づいたことを言葉にしてみましょう。声に出したり、ノートに書き留めたりするのも良い方法です。
- 誰かに見てもらう: ご家族や親しい人に作品を見てもらい、感想を聞いてみましょう。自分では気づかなかった作品の魅力を教えてもらえることがあります。
作品を飾る・鑑賞することから広がる可能性
作品を飾るという行動は、新たな活動につながる可能性も秘めています。例えば、特定の場所に飾ることを考えて作品を制作したり、飾る場所の雰囲気に合わせた作品を選んだりすることもできます。また、作品を見てもらった人との会話から、次の創作のヒントが得られるかもしれません。
アート活動は、作品を完成させるだけでなく、その後の楽しみ方も含めて豊かな体験となります。ご自身のアート作品を日常に取り入れることで、日々の生活がより豊かに、そして創作へのモチベーションもさらに高まることを願っています。