「絵心がないから無理」と思っていませんか?障害のある方が気軽に始めるアートの第一歩
アートを始めるのに「絵心」や「才能」は必要ありません
「アートに興味はあるけれど、絵心がないから自分には無理だ」「特別な才能がないとできないのではないか」と感じて、アート活動への最初の一歩を踏み出せずにいる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、アートは決して、一部の特別な人だけのものではありません。
アートとは、何かを「上手く」描いたり作ったりすることだけを指すものではありません。感じたこと、考えたこと、頭の中にあるイメージなどを、色や形、素材などを使って表現する営みそのものです。そこには、「正解」も「間違い」もなく、あなたの内側にあるものを自由に表出するプロセスそのものに大きな価値があります。
プロの芸術家を目指すわけではないアート活動においては、技術的な巧拙よりも、あなたが何を感じ、どのように表現したいかが何よりも大切なのです。「絵心がない」というのは、単にあなたがまだ自分なりの表現方法を見つけていない、あるいは既成概念に捉われているだけかもしれません。
気軽にアートを始めるためのヒント
アートを始めるにあたって、構えすぎる必要は全くありません。まずは、身近なところから、気軽に試せることから始めてみましょう。
1. 完璧を目指さない
最初に「すごい作品を作らなければ」と意気込む必要はありません。アート活動は、自己表現のプロセスを楽しむことが一番の目的です。完成度よりも、手を動かすこと、色を選ぶこと、素材に触れること、その瞬間の「楽しい」「心地よい」という感覚を大切にしてください。失敗を恐れず、まずは「やってみる」こと自体に意味があります。
2. 身近なものから試してみる
高価な画材や専門的な道具を揃える必要はありません。鉛筆1本と紙切れでも、立派なアートは生まれます。古新聞をちぎって貼る、拾ってきた小石に色を塗る、粘土をこねるなど、身の回りにあるものを使って、子供の頃に戻ったような気持ちで遊んでみることから始めても良いでしょう。塗り絵や写仏なども、手軽に集中して楽しめるアート活動です。
3. テーマを決めすぎない
「何を描こう?」「何を作ろう?」とテーマ設定で悩んでしまうこともあります。そんな時は、あえて何も決めずに始めてみてください。例えば、好きな色を気の向くままに塗ってみる、手に取った素材の感触を確かめながら形を作ってみる、音楽を聴きながら自由に線を引いてみるなど、感じるままに手を動かしてみましょう。後から「これはこう見えなくもないな」と感じることもあるかもしれませんし、何も見えなくても、そのプロセス自体があなたの表現です。
4. 他の人と比較しない
他人の作品を見て「自分はダメだ」と感じる必要はありません。アートは競争するものではなく、あなたの個性や内面を表現する手段です。一人ひとり違うように、表現もまた異なります。SNSなどで他の人の作品に刺激を受けるのは良いことですが、自分自身のペースで、自分の表現を大切にしてください。
一人でのスタートが難しいと感じたら
もし、「一人ではなかなか始められない」「何から手をつけて良いか分からない」と感じる場合は、アート教室やアトリエの利用を検討してみるのも良い方法です。
アート教室の中には、初心者向けのクラスを設けていたり、体験レッスンを提供していたりする場所が多くあります。また、障害のある方が安心して参加できるよう、個別のサポート体制を整えているアトリエもあります。経験豊富な講師やスタッフが優しくアドバイスをくれるので、道具の使い方から基本的な表現方法まで、安心して学ぶことができます。
何よりも、他の参加者と一緒にアートに取り組むことで、程よい刺激を受けたり、新しい発見があったりするかもしれません。教室という環境は、アート活動を始めるハードルを下げ、継続するための良いきっかけとなる場合があります。
アート活動がもたらす豊かな時間
気軽に始めたアート活動は、きっとあなたの生活に新しい彩りを与えてくれるはずです。色を選んだり、形を考えたりすることに集中する時間は、日常の忙しさや悩みから離れてリフレッシュできる貴重な時間となります。また、何かを創り出す体験は、自己肯定感を高め、自分自身の新しい一面を発見するきっかけにもなり得ます。
「絵心がないから」という思い込みを手放し、まずは小さな一歩を踏み出してみませんか。あなたの「好き」や「やってみたい」という気持ちこそが、素晴らしいアートへの入り口です。